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起動試験を終え、研究所にある部長専用室へとやってきた賢は疲れたように部屋の回転椅子へとドッシリと腰かけた。
はぁ、と息を漏らし、部屋の壁に取り付けられたTVを付ける。
この時間はバラエティやらドラマやらで、まともなニュース番組はやってはいない。あるのは政治関連のニュースばかり。賢が見入る程の内容の物はない。
「マスター、コーヒーをお持ちしました」
気付けば、コーヒーを持つアリアが隣にいた。
「ついてきたのか?」
「はい、いけない事でしたでしょうか?」
「いけない事と言う訳ではないが気配を消して私の後を追いかけるのはやめろ」
無表情のアリアは何を思っているのかは誰にも分かる事が出来ない。しかし、賢はその表情の微妙な変化で考えている事を手に取るように分かっていた。だから賢はやれやれと頭を抱える。
「分かった、分かった。これからも私とアリアとの間だけでは何をしても構わない。だからそんな残念そうな顔をするんじゃない」
「はい、マスター。では肩をお揉みしますね」
子供の世話をした事がない賢はどうにも苦手らしい。つい甘やかしてしまうのだ。
アリアの成長の為にももっと厳しく接するのが妥当だと起動前に考えていた賢だが、どうやら上手くいかないご様子である。
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