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「はあ、こんな日に、じゃんけんで負けるなんて」
大粒の雨粒が降る中、傘を差しながら日比野 景壱は自分の不運さに嫌気がさして思わず、ため息を吐く。
まだ、午前中だと言うのに雨雲で、外は夜の様に真っ暗になっている。
そんな中を歩いているのは、先程、蒸し暑いので店の仲間と誰が飲み物を買うかで、じゃんけんをして負けてしまったからである。
「一応これもビールだよな。梅酒も買ったし、大丈夫だよな」
ノンアルコールのビールの瓶を、ぶら下げて景壱は一人、呟く。
暫く歩いていると余所見をした訳でないのに、彼は途中で何かにぶつかった。
「痛! 何だこれ?」
そこに大きな柱が有った。元々白かったのだろうが土や埃で汚れている。
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