森のくまさん

2/57
前へ
/433ページ
次へ
「はあ、こんな日に、じゃんけんで負けるなんて」 大粒の雨粒が降る中、傘を差しながら日比野 景壱は自分の不運さに嫌気がさして思わず、ため息を吐く。 まだ、午前中だと言うのに雨雲で、外は夜の様に真っ暗になっている。 そんな中を歩いているのは、先程、蒸し暑いので店の仲間と誰が飲み物を買うかで、じゃんけんをして負けてしまったからである。 「一応これもビールだよな。梅酒も買ったし、大丈夫だよな」 ノンアルコールのビールの瓶を、ぶら下げて景壱は一人、呟く。 暫く歩いていると余所見をした訳でないのに、彼は途中で何かにぶつかった。 「痛! 何だこれ?」 そこに大きな柱が有った。元々白かったのだろうが土や埃で汚れている。
/433ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1945人が本棚に入れています
本棚に追加