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喪服の様な服を着た男が、木製の椅子に座り、気難しい顔をして何かの本を読んでいる。
目の前には、真っ青の顔色の悪い男が不安げな表情をして、その様子を見ている。
「今までに、これと言った様な悪事を働いた訳ではないようだな」
「じゃ、じゃあ、極楽に行けるんですか」
それを聞いて顔色の悪い男は満面の笑みを浮かべる。
「残念だが、そういう訳ではない。悪事は働いてないだろうが、同時に善行も行っていないからな」
椅子に座っている男は刀の刃を思わせる様な細く鋭い目で、ジロリと目の前の男を見た。
「なら、僕は……」
「四十八日をかけて、あの世に旅立ち、魂の選別を受ける事になる。一日やるから、その間に準備を済ませろ」
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