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「要は今日が大切な日ってことだよな。あのおばあさんの言いたいことって。……でも、もう今日は終わりだよ。あと三時間しかない」
占いなんて気にしないで生きてきたけど、今回はどうにも気になっている。星座占いとか血液型占いは個人を指定できるような精度じゃない。だけど、さっきのはどうにも俺一人に向けられていた。それも知らないおばあさんからのもの。
「まあ、いいか。そんな時間で何か起きるほどここは賑やかじゃない」
そう考え直して俺は再び帰路に就いた。
歩いていれば寒さへの対策に必死で、こんな些細なことはすぐに忘れてしまうだろう。そう思っていた。そして、事実そうだった。
しかし、俺はこの占い師のおばあさんのことを忘れることはなかった。なぜなら――。
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