第三章

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まだ頭痛い……。土方さんってば強く殴りすぎ!! 「もう! 一のせいだからね!」 「すまない。しかし円だって勝負にのったからおあいこだろう」 あれから一緒に土方さんに怒られて、謝って、その後も二人で掃除をした。 そうこうしているうちに仲良くなり、敬語もなくして自然と名前で呼ぶようにもなった。 そして今は夕食の支度を一緒にやっている。 「副長から聞いたが、円は島原で働き出したんだろう? その上屯所の雑用をするのは疲れないか?」 「うーん、でも私ここに雑用専門の隊士って名目で置いてもらってるからやらないと」 「ここが女人禁制ではなかったら良かったのにな」 「あはは! そうだね! でもこれはこれで楽しいからいいよ。それに、みんな優しいし」 ネギを切り豆腐を入れて、手際良く味噌汁を作っていく一に感心する。 包丁さばきもとても鮮やかで、この人は主婦か何かと間違えてしまいそうだ。 「どうした?」 「いや、手際良いなぁって」 「円もな。流石女子なだけある」 一がそう言った瞬間、ガラッと台所の扉が開いた。
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