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「あの、重くないですか?」
「これくらい平気ですよ。むしろ僕は円さんがこれを持っていたのが不思議です」
総司さんは綺麗な顔立ちをしてるし腕も細いけど、こういう時に男らしさを感じてしまう。
台所まで運んでもらい、ちゃっかり洗うのも手伝ってもらった。
「すみません。手伝わせちゃって」
「巡察が終わって暇だったので。それより、これは何に使ったんですか?」
「稽古してる皆さんに差し入れしたんです。水分補給のためにお茶を淹れて、道場まで持って行ったんですよ~」
「あんなむさ苦しいところに行ったんですか。ご苦労様です」
湯呑みを戸棚に片して、漸く一息つくことができた。
ふうっと息を吐くと、後ろからくいっと引っ張られる。
振り向くと、おでこにキスをされた。
「隙あり」
「なっ! 何するんですか!?」
「そんなに無防備だから山野君にバレちゃうんですよ」
「確かにそうですけど! それとこれは関係ないじゃないですか!」
「あっ、照れてるんですね」
むぅ……からかわれてる。
ぷいっと総司さんから顔を背けて、今日の晩御飯に取りかかる。
「拗ねちゃいました?」
「……拗ねてませんっ」
「感情隠すの下手ですね。これ以上からかうと怒りそうですし、続きは夜にしますね」
逃げるように、総司さんは出ていってしまった。
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