1576人が本棚に入れています
本棚に追加
/718ページ
「マル、これ拾えば良いの?」
「あっ、ありがとうございます!」
山南さんが説明してくれている間に、藤堂さんと総司さんは転がった湯呑みを拾ってくれる。
「……というわけなんです」
「はい。終わったよ」
山南さんの説明が終わるのと同時に、散らばった湯呑みも拾い終えた。
「説明したんだから納得しろよ。それからマル。てめぇももう少し男らしくしろ」
「痛っ! 何するんですか!」
ピシッとデコピンをして、土方さんは先に戻っていってしまう。
「やれやれ。……速水さん。気を付けていても貴女は女子ですから仕方のないこと。土方君の言うことは気にしないでくださいね」
優しい笑みを浮かべると”お先に失礼します”と言って、山南さんも去っていく。
みんなに迷惑をかけてしまったなと思っていると、山野さんが口を開いた。
「私は貴女を認めませんよ。副長達が何と言おうと絶対に……!」
「……すみません」
「謝ることなんてないですよ。円さんがいない生活なんてつまらないですからね。さっ、行きましょう」
手から桶を奪い取ると、総司さんはスタスタと歩いていく。
「あの、山野さん。本当にすみません」
もう一度謝って藤堂さんにはお礼を言って、先に行ってしまった総司さんの後を追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!