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洗い終わり干すところまで、斎藤さんは手伝ってくれた。
「何から何までありがとうございます」
「……」
「斎藤さん?」
「……呼び捨てで構わない。敬語もなしだ。次からは口をきかないぞ」
「えぇっ!? そんなぁ!!」
「ふっ……冗談だ」
さあっと風が吹き抜けて、斎藤さんの黒髪が靡く。
僅かに微笑んだ顔がとても素敵で。
思わず目を奪われてしまった。
「私、掃除があるので……じゃなくて、あるから行きま……行くね」
「次は掃除か。よし、行こう」
「えっ?」
スタスタと掃除道具がある方へと行ってしまう斎藤さん。
まさか、掃除まで手伝ってくれるのだろうか。
「円、どこの掃除をするんだ?」
そのまさかでした。
どこからか取り出したのかわからない襷(たすき)をかけて、雑巾を持ってやる気満々といった状態で縁側で待っている。
「廊下の雑巾がけしようか」
「雑巾がけか。じゃあどちらが早く終えることが出来るか勝負だ」
そう言うと、斎藤さんは雑巾を床に置いて手をついて構える。
なんだか勝手に勝負が始まってしまった。
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