第三章

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「なっ……!!」 ズキリと、切ってしまった人差し指が痛む。 だけどそんな小さな痛みが気にならないくらい、総司さんの行動に驚かされていた。 ザラザラとした舌の感触が私の指を這う。 「はい。消毒です」 チュッというリップ音を立てて、総司さんは私の指から口を離した。 かあっと顔が熱くなって、床を見たままあげることが出来ない。 「円さん。僕はあなたを嫌いになりません。あなただけには、こういうことだって出来る。だから避けないでほしいです」 「……そんなのわかりません。私だって女ですよ? 急に嫌になるかもしれません」 「ないです。絶対に」 「も、もう離してください! 私は……夕餉の支度があります」 パッと手を振ると、総司さんの手は簡単に離れる。 総司さんは”すみません”と小さく謝って、台所を出ていった。 「円」 「変な空気にしてごめんね。続けよっか」 一は何か聞きたそうな顔をしてたけど、私は無言のまま夕飯の支度に取り掛かった。
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