第三章

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「ここ壬生浪士組にはな、近藤さん以外にあと二人局長がおる」 「そんなにいるの?」 「実質この組で一番偉い筆頭局長 芹沢 鴨(せりざわ かも)。そして局長の新見 錦(にいみ にしき)。この二人は向かいの八木邸におるんや」 向かいの八木邸。 そこにはまだ行ったことがないし、そもそも明るい京の町にも未だに出たことがない。 「一ちゃんと会うたやろ? 芹沢さん達は最近まで大坂に行ってた。んで、今日の昼頃帰ってきた。そろそろ嬢ちゃんも会うはずやで」 芹沢さんと新見さんかぁ……。近藤さんみたいに優しい人だったらいいなぁ。 逆に土方さんみたいに怖い人だったら困る。 「ねっ、芹沢さん達ってどういう人?」 「あまり関わらんほうが身のためやで。特に新見さんにはな。あの人、女関係で良い噂聞かへんし」 山崎さんが同じ浪士組の人達を、悪く言うなんて思わなかった。 「わいらがおるほうが前川邸。芹沢さん達がおるのが八木邸。近藤派と芹沢派で別れているんよ」 派閥があるのも、今の今まで全く知らなかった。
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