第三章

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「ごめんなさい! 遅れちゃいました! あっ、この子が円ちゃん?」 「葵(あおい)ちゃん。まずは挨拶から」 「はーい! 葵です! 歳は十八。一応、ここの天神って位貰ってます」 な、なんかイメージしてたのと全然違う! 芸妓というのは大人っぽくて、静かなイメージがあった。 だけど目の前にいる葵ちゃんは元気でキャピキャピとしていて。 私の中にある芸妓のイメージを覆された気がした。 「円ちゃん? 大丈夫?」 「あっ、円です。私も十八です。わからないことばかりですがよろしくお願いします」 「そんな堅くしなくっていいよ! 同い年なんだからさ!」 「は、はい!」 「円ちゃん美人だね~! ね、なんでここで働こうと思ったの?」 「えっと……」 答えようとしたら、”お喋りはそこまで”というお春さんに遮られてしまう。 「円ちゃんはお酌したり、お客さんとお話を。葵ちゃんは円ちゃんが困ってたら助けてあげてね」 葵ちゃんは元気良く”わかりました!”と返事をすると、私を見てにこりと笑った。
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