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お春さんは一通り説明すると出て行く。
葵ちゃんは早速着物を着始めたので、私も着ることにした。
「円ちゃんすごいね。もう着方覚えたの?」
「はい。あってるかわからないんですけど」
「大丈夫大丈夫! 完璧だよ! 覚えるの早いんだね~。てか、敬語なんていらないから!」
幕末に来てわかったことは、自分は適応能力があり、物事の覚えが早いこと。
お陰で最低限のことはわかるようになっていた。
幾重にも重なった着物は少し重い。
加えて、いつもは襟元もきちんとしているのに、少しはだけているものだから落ち着かない。
葵ちゃんを見ると、赤をベースにした着物は明るさを際立てると共に色っぽさも出していて。
クリッとした愛らしい目元には既に紅が引かれている。
「円ちゃんもお化粧しよっか! あっ、私がやってもいい?」
「は……うん! 是非お願いします!」
「あはは! また敬語! 今日は控えめにしとこうか。最初から変な人に好かれたら困るからね!」
葵ちゃんは慣れた手付きで、私の顔に白粉を塗り始めた。
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