第三章

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着付けも化粧も終え、髪も綺麗に結ってもらって準備は出来た。 あとは座敷に出るのみ。 「まだ時間あるからそんな緊張した顔しないで平気だよ!」 「私緊張した顔してる?」 「うん。こーんなしかめっ面してるよ」 眉間に皺を寄せて私の顔真似をする葵ちゃん。 綺麗に化粧もしてあるその顔でやられると、おかしくて笑いがこみ上げてくる。 「あはは! 葵ちゃん、そんな綺麗な顔で変な顔しないでよ~!」 「よしよし! 良い笑顔だね! やっと笑った!」 『やっと笑ってくれましたね』 ふと、総司さんの言葉を思い出した。 不安でいっぱいだったあの時、総司さんのお陰で少しだけど気を紛らわすことが出来た。 頭を撫でてくれたりして、本当に安心した。 「円ちゃんどうしたの? 急にそんな寂しそうな顔して」 「えっ、あっ……なんでもないよ」 「嘘。私達はね、お客さんの顔を見て仕事をしてる。些細な変化にも気付けるようにね。だからわかる。今、円ちゃんが悲しい気持ちを抱えてるって」 見透かされてしまっていて、何も言うことが出来ない。
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