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そびえ立つ高い門。真っ直ぐ続く道…途中には噴水もある。両サイドに森…庭?
え?
金持ちばっかりが通う学校とは聞いてたけど…さすがにこれが学校とは思えないんですけど。
あ、もしかして今日から僕ってここに通うんですか、っていうか住むんですか叔父さん。
取りあえず落ち着いて…。
僕は鞄の中から真っ黒の日傘を取出して開いた。今日はいい天気だ。
慣れないメガネの弦を直しつつ門の端の方に寄った。
迎えの人が来るまで待てって言われてるんだよね。
ホントはさっさと室内に入りたいんだけど←
ん?なんかあの人こっちに歩いてくる…迎えの人かな?
「お待たせしました。辰野皐月さんとお見受けしましたが…」
「はい。僕が…辰野です。」
「良かったです。すみません、早速ですが中に入っていただいても?」
「あ、ハイ。」
迎えの…誰かさんはこちらに背を向けてすたすたと歩きだす。僕も続けて歩く。彼は長身で長めの髪を後ろで一つにまとめており、ちょっと執事みたいで堅苦しい人のようだ。
日傘越しであまり見えなかったけど、綺麗な顔をしていたように思う。
「皐月さんはその、失礼とは存じますが変な格好でいらっしゃいますね。」
「へ…!?」
変…!?
「あ、えっと、学生服がですか?」
「いえ、見たところ全身黒づくめですし…髪の毛もどことなくもっさりしていますし。」
「あ…」
彼に言われて思い出した。
僕の今の格好は前の学校の学ランに加え、黒髪でわさわさしたカツラ、そしてメガネ。まあメガネは渡されていたビン底タイプから黒縁に変更したわけだけど、変装させられているのだった。
「まあ、気にしないでください…」
「気にせずにはいられないでしょう。貴方は今日からこの学校の生徒なのです。身なりはきちんとしてもらわないと…」
「…随分この学校に思い入れがあるんですね。」
「そりゃあ、副会長ですし。」
「ふ、副会長!?」
聞いてない!
なにそれ!!
「?ああ、私としたことが自己紹介がまだでしたね。この昂学園(すばるがくえん)で生徒会副会長を務めています。鬼柳弥です。」
鬼柳さんは恭しく一礼。僕までつられて「よろしくおねがいします」と頭を下げてしまった。
「さて、急がないとなりませんね。」
そう言うとまた足早に校舎へと歩き出した。
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