1.カツラとメガネ

5/7
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
さて、どこに座ろうかな。 勝手に席におじゃまするのもアレだし、かといって話しかけるのもき、緊張するっていうか…。 「おーい、転校生ー」 「っへぇ!?」 後ろの方の席で手を振ってる誰か。もしかしなくても僕を呼んだんだよね? 「な、なんですか…?」 「座るとこ決まってないんだろ?ここ座っていいよー」 「!!あ、りがとう…ございます」 やったー!!席確保! 呼んでくれたヤツは「はははっ。変な奴」と笑っている。っく…やっぱりイケメンかよ…。 さわやかな笑顔ってこういうのを言うんだね。 「俺は陵 竜也(みさき たつや)!サッカー部。」 「えっと、辰野です…」 「竜也って呼んで?あと俺も下の名前で呼んでいい?」 「あ、いいよ」 あんまり友達ってできたことないんだよね。 なんか新鮮…というか、普通に緊張するっていうか。 そのあとの授業も滞りなく終わって、竜也…と一緒に寮に向かっているところ。てかやっぱりこの学校広すぎ。迷子になるし。…物の例えだよ?別に本当に迷子になったりしないからね! 「それにしてもラッキーだな。隣の部屋だぜ?」 「うん。…でも一緒の部屋がよかったな。」 知らない人と一緒の部屋か…大丈夫かな? 「隣の部屋の奴は…ああ、同じクラスのアイツだろ?あの変態野郎。」 「え!?てか人を変態野郎とか言っちゃダメでしょ。」 「マジで変態野郎だから仕方ないよー。あ、でも掘られることはないから安心していいと思う。皐月もそのナリだしな。」 …今知らない単語が入った気がした。え、掘られるって何?どこを掘られるわけ? 「え…もしかして、わからない…?掘られるの意味。」 「わかんない。あ、穴を掘るとかそういうやつだよね…??」 「わかってない感じかよ!ますます心配だなw」 心配されるようなことなのか…え、人体に掘っていい場所なんてないよね? 「身体のどこに穴を開けられるの?マジ怖いんだけど…!」 「開けられるってwwwwww」 そんな爆笑しなくても…。 そんなこと話してたら部屋の前。 まだ掘られるの意味訊いてないんだけど「がんばれよー」って言いながら竜也が去っていったから、とりあえず中に入るしかない。 「し、失礼します…」 「…どーぞー」 中からあわただしく走る音と、ワンテンポ遅れた了解の声が聞こえた。 わっ!広!! 広いぞこの部屋!!
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!