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「失業か……」
僕は次々と呼ばれる番号札を眺めながらため息を吐いた。
何がいけなかったんだろう。
毎日毎日僕はあの子の為に、モンスターと戦い続けたのに。
まあ、モンスターと言っても、彼らだって仕事にすぎないけれど。
ある日突然現れたあいつだ……ゼルダ。
あの子はあの耳の尖った少しばかり見た目の良いあいつに夢中になって、僕には見向きもしなくなった。
うっ……冬可ちゃん。
僕は彼女の事が好きだったのに。
男は顔だけだって言うのか。
彼女の為ならどれだけでも操られたふりをして、埃だらけの土管の中だって、燃えさかる業火の中も、本当は泳ぐの嫌いなのに海の中だって飛び込んだって言うのに。
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