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「はい、次の方~、マリオナンバー43さん。いらっしゃらないですか……じゃあ次の」
「はい!!すいません。僕でした」
考えこんでいた僕は、慌てて立ち上がり手を挙げた。
ハローワークの職員は僕の顔をちらりと見ると、メガネを直しながら不機嫌そうに書類に目を戻した。
そりゃあそうだろう。
僕で43回も同じ顔を見ているんだから、わざわざ見る気もおきないだろう。
「名前は」
「マリオです」
「だろうね。何が得意なの」
「ブロック壊したりするのはかなり早いです。後タイミング良く亀踏んづけたり。あ、レースは結構得意です」
「他に何かないのかな。ほら、他のマリオが出来ない事とかさ」
それを言われると辛い……。
僕には個性がないんだろうか。
個性……個性……。
「あ! ありました。ヨッシーを乗りこなすのが上手いです」
「へえ、さっきのマリオはノコノコの上に三秒乗ったままでいられますって言ってたよ」
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