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僕は間違いを犯した、らしい。
「らしい」とつくのは、僕が何を間違えたのかが、未だに理解できていないから。
僕はただ、みんなとずっと一緒にいたくて、みんなに笑ってほしくて、そのために必要なことをしただけ。
そのはずなのに、みんな僕を憎んでいなくなった。
僕を罵倒して、僕のしたことを悲しんで、僕のもとからいなくなった。
だから、僕がやったことは間違いだった――そう認識している。
けれどいったい、何が間違っていたのだろう。
あれから何度も訊いた。僕は何を間違えたのかを。
それでも未だに、答えは得られない。
だって、この世界はずっと楽しくなった。平和になった。
大きな争いの原因、その根源は消えて、悲しむ人はかなり減った。
たくさんの人が、夢をもてるようになった。
みんなの――そして彼の望む幸せな、理想の世界になったはず、できたはず。
――なのに。
なんで、僕は、今。
独りなんだろう。
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