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二人の会話
真由美は心底驚いた。
まさか、雪の電話に男性が出るとは思っていなかったからだ。
それもこの人物を真由美は、いや、大体の女子が知っているからだ。
彼は女子に人気が高かったが、告白しても付き合わない男として有名だった。
雪が彼を知らなかったのは不思議なくらいだ。
真由美は言う。
「な・なんで、アンタが雪の電話に出るのよ、そ、それとあんたが雪を誘ったってどういうこと、それに洋介も一緒って……」
真由美は動揺し戸惑っていた。
そんな彼女に明久は言う。
「まず第一に、洋介は俺の親友だ。 第二に、今日たまたま雄介と帰ろうとした
ら宮下さんもいて、今日君と帰る約束をすっかり忘れていたらしく、その時俺が
三人で帰らないかと誘ってしまったんだ。だから一緒に帰っていたんだが、
その時、会話の中で、今入院している祐介のお母さんの話になってね、それでま
た俺が三人で見舞いに行かないかと言ってしまった。それで今、杉下総合病院に
いるんだ。
すまない、いくら彼女が約束を忘れていたとしても安易に誘うべきははなかっ
た。本当にすまない。」
明久のわかりやすい説明と本当に謝っている声を聴くと真由美は呆れながら話し
た。
「ちょっと、なにそれ、アンタの話を聞いていると雪が悪いんじゃない、確かに
誘ったあんたは悪いと思うけど、雪も悪いよ。
まあ、大体事情は分かったから雪を出してよ。」
明久は雪のことを考えて言った。
「ああ、これからかわる。だけどさ、真由美さん、宮下さんを許してやってほし
い。
悪気があって、忘れたわけじゃあないから……」
真由美は疲れながら「わかったわよ」と言った。
明久は、ケータイを雪に渡す。
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