暇を持て余した女神の戯れ

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「呼んだか?」 「シャドウくん、依頼があるんだ」 シャドウ・クロノエル それがギルド最強と言われている彼の名だ。 経歴は不明で10歳でギルド員になったかと思ったら僅か数年で頂点にまで登り詰めた生けるレジェンド。 現在、とある事情で学園に通っている。 そんな彼を呼びつけてまで頼む依頼とは何なのか? 「君はヴィアン・ローレイルを知ってるね」 「……ああ」 ヴィアンと言えば彼の記憶の中ではアッシュと言う男になついている女子と言う印象しかない。 「彼女は夜な夜な近くの森へ入っていくらしい」 「逢い引き?」 「なら、両親は安心するのだがね。両親が何度追い掛けても途中で見失ってしまうらしい」 「……それで?」 「他には夢の中で女神様が現れたとか、神獣さんが力を貸してくれるとか明らかに変な言動をするようになった。何者かに洗脳されている可能性もある」 「事は大きい……か」 同じクラスの人間が何かの悪に利用されていると言うのは胸くそ悪い。 彼は直ぐ様オーバーランク“漆黒の牙”としてヴィアンを追うことに決めた。 深夜、報告通りヴィアンが森へ向けて歩き始める。 まるで夢遊病のようだとシャドウは思った。 ここで止めても良いが犯人を炙り出す為にしばらく泳がせてみよう。 彼はゆっくりと気が付かれないようにヴィアンの後を…… 「ん?」 気が付いたら牢屋の中にいた。 そして額には“ストーカー”と書かれた紙が貼られていた。
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