余裕のない男の奮闘

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「次の試合に行けるのは8名。開始の合図がなったら始めてください」 そう言えば、参加人数の割には試合数が少ないなと思ったらそう言うわけか。 「……」 俺の視界にお互いに睨み合っているSクラスの生徒2名を捉える。 俺は激しく嫌な予感がしたので俺はその2名を注視する。 「試合開始!!」 とりあえず俺の最初の行動は先制攻撃でもなく、奇襲でもなく、全身全霊の回避行動だった。 「うおわ!!」 雷と炎と水と風と岩と闇と光と氷と…… ともかくSクラス同士がお互いを潰そうと全力の魔法をぶっぱして、その余波でライバルを倒そうとしたAやBやCのクラスの生徒が紙切れのように宙を舞う。 BクラスのトップはAクラスのトップとも渡り合えることもある。 そしてSクラスの雑魚程度なら勝てる。 だが、逆立ちしたってAクラスのトップはSクラスのトップには勝てない。 Sクラスは魔力の高い連中を集めた優秀組であるが、内部のパワーバランスがおかしいことでも有名である。 Sクラス内部ではパワーのインフレが起こっており、上位陣はほぼ化け物である。 ちなみに我義妹もインフレ組である。 この大会は何故か今回に限ってインフレ組が多く参加している。 噂では2年の生意気な編入生が上級生に喧嘩を売ったからとか何とかで、Sクラスの最強学年は何処だ!っていう隠しイベントが発生中なのである。 つまり、巻き込まれるのを回避するために先制攻撃なんて考えずに全力の回避行動が正解なのだ。
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