余裕のない男の奮闘

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「ぬおりゃ!」 俺は狭苦しい魔法と魔法の隙間を縫って何とか安全地帯へ行こうとする。 ドコーン!!! しかし、安全地帯など存在するわけがなく、俺より先に安全地帯と思われていた場所に逃げ込んだ生徒が消し飛んだ。 俺は振り返ってSクラスの魔法を見る。 「黒連斬!」 「龍炎砲!」 魔法の名を言葉にするのはイメージを強くするため。 魔法には一つコツがある。 イメージと自分の技量を合わせること。 技量とは魔法を発動させる為に必要な魔力の放出、圧縮、変換、成形の4つのことで、イメージが自身の使える技量を越えれば魔法の威力は極端に低下する。 ちなみに技量は鍛えることは出来ても魔力の量は鍛えられないので魔力の量が重視されるのだ。 そして、ここにいるSクラスの人間は魔力の量だけでなく、技量も極端に高い。 「どうしようか」 この闘技場は特殊な結界が貼ってあり生命力の低下を関知すると結界の外へ排出される。 しかし、一撃必殺の威力を食らえば死ぬ。 実際、過去に死者が出たらしい。 そんな考えをしている間も俺は必死に魔法を避け続ける。 ピピー!!! 「そこまで!!」 「え?」 周りを見ると既に人数が俺を含めて8名になってしまっていた。 まぁ、なんと言うかSクラス以外の生き残った人物達の表情は何処と無く絶望が見てとれる。 誰だってあんなインフレバトルを見ればやる気がなくなるさ。
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