余裕のない男の奮闘

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一番最初の試合がこんなので良いのだろうか? 「……棄権していい?」 「死ね」 どうやら黙ってアタシの制裁を受けろと言いたいらしい。 まぁ、一応試合なんでそれらしく剣を構えますか。 お互いに剣を構える。 「……はぁ、まだその型使ってんのか」 「うるさい」 「俺の我流なんだから使わなくていいぞ」 「うるさい」 俺とクレアの剣の構え方は全く同じだった。 ピー!!! そして試合の開始を告げる笛がなった。 お互いに同時に動く。 しかし、お互いに同時に動いたとしても速度には圧倒的な差があった。 俺が一歩踏み込んだ時にはクレアは10歩分の距離を移動している。 俺の剣を持ってない方に回ったクレアは俺に向かって剣を振るう。 俺はその凶悪な銀の軌跡を紙一重で避ける。 「烈風連斬」 そして剣のない方の手から風の刃が連続で射出される。 「くっ!」 俺はそれを大きく跳ぶことによって避ける。 「嵐砲撃」 やれやれ、我が義妹は優秀だな。 魔法はイメージが複雑になるほど発動までに時間が掛かる。 つまり、強い魔法にはそれなりの溜め時間が必要なのだがクレアの魔法はほぼノータイムで発動している。 これがSクラスのインフレ組か…… 嫌になる。 俺は剣を地面に突き立てて腕力で上へ跳び跳ねてクレアの攻撃を避けた。 「嵐砲撃」 別にさらに空中へ跳び上がったからと言って移動手段を用意してない訳ではない。
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