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「!!」
クレアの目には俺が突然急降下したように見えたに違いない。
地面に着地しすかさず剣を引き抜いてクレアへと迫る。
「千刃竜巻!!」
「え?」
範囲魔法は卑怯だと思います。
クレアを中心とした広範囲に広がる竜巻が発生して、俺を空中へ放り投げる。
風のなかには無数の見えない刃が仕込まれており、洗濯機の中身の如くぐるぐる回される俺の身体に次々と傷を付ける。
正直勝つつもりはなかった。
だけど最後の最後に嫌がらせくらいはしてやろう。
俺は剣をクレアの足元近くに投げ付けた。
「何のつもり……なっ!?」
どうやら俺の剣に仕込んである仕掛けに気が付いたようだ。
剣の柄には細くて頑丈な糸が付いており、その糸は俺の右手首のブレスレットに繋がってる。
そして俺はクレアの周りをぐるぐる回る洗濯物。
つまりは……
「いい眺めだ」
糸が絡まり身体のラインが浮き出して行く光景を俺は微笑ましく眺める。
自分の魔法で苦しめられることとなったがそう長くは続かなかった。
何故ならこの竜巻の中には風の刃が仕込まれてるからである。
ブチッ
「あっ」
糸が千切れてその反動で場外へと放り出される。
もちろんこの時点でアウトだ。
俺はそのまま自由落下を始め、観客席に貼ってある結界へ衝突する。
「キャアアアアアア!!!」
ひでぇ反応だ。
血塗れの俺はそのままズリズリと滑り落ちて闘技場の脇に落ちた。
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