余裕のない男の奮闘

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「……」 医務室へ運ばれた俺はボケッと試合の様子が映し出されるスクリーンを見ながら不味い回復ドリンクをストローで飲む。 本当なら回復魔法の使えるヒーラーが担当する筈なのだが、効果の薄い回復ドリンクを用意されるだけで回復魔法を使ってくれなかった。 Fクラスに使う魔力はねぇと? Fクラスに対する扱いが酷すぎやしないか? そう思ったがどうも違うらしい。 勝者は次の試合があるから回復魔法で治療されて、敗者は回復ドリンクでじっくり直せという方針らしい。 俺の隣で同じく不味い回復ドリンクをストローでチューチュー吸いながらスクリーンを見てるSクラスの人間。 Sクラス同士の戦いで負けたようだ。 「確か先輩……ですよね?」 「君は3年か?」 「はい、3年のクラントです」 3年と言うと我が義妹の学年、そして、Sクラスだから同級生。 「クレアさんと同じ名字ですけど、ご兄妹か何かですか?」 「クレアは妹だ」 「なるほど、だから構えが同じだったんですね」 Sクラスにしてはなかなか礼儀正しい人物だな。 やはりインフレ組は顔も性格も良いという話しは本当だったのか。 「じゃあ、魔法が使えないってのは本当ですか!魔法が使えないのに本選に行くなんて凄いですね!」 さりげなく馬鹿にしてるよね? 「勝手に周りがやられただけで俺は何もしてないけどな」 「でも、凄いですよ!魔法がなきゃ僕はろくに魔法を避けられないんです……」
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