偽りの召喚師

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先生が去った後、ヴィアンが麒麟に話し掛けた。 『どうして……なの?』 『最近、私達召喚獣は召喚された切り帰って来ていない仲間がたくさんいます。本来そんな事は不可能な筈なのにです』 「……」 俺の隣で堂々と喋っているが、たぶん普通の人間には聴こえない。 なので俺に話が丸聞こえだとは夢にもおもってないだろう。 『召喚には……魔力が必要……』 『魔力だけではありません。召喚師の身体に相当な不可が掛かります』 『うん……物凄く……疲れる……』 『あの黄昏の銀翼団、どうにも嫌な予感がします』 だそうだ。 さて、俺も頑張りますか。 ドスッ……ドスッ……ドスッ……ドスッ…… 定期的に繰り返される何かを叩くような音。 それは我が義妹の部屋から聞こえてくる。 「何を苛ついてるのかしら?」 女神になった俺は目を瞑り、義妹の部屋の中を遠視する。 ドスッ……ドスッ……ドスッ……ドスッ…… クレアは無言でヴィアンの写った写真にひたすらナイフを突き立てていた。 確かクレアはトーナメントでヴィアンと戦って負けたが、そこまで悔しかったのだろうか? 「……見なかったことにしよう。そうしましょう」 触らぬ神に祟りなし。 俺は今宵も部屋からそっと消えたのだった。
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