偽りの召喚師

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黄昏の銀翼団 発足は2000年前にも遡る由緒正しい組織らしい。 名の由来となったのは本部である建物、飛空塔ウィングタワー。 不可視な上に世界各地を移動しているため、黄昏の銀翼団のメンバー以外その所在を知らない。 「活動については何も記されていないのね」 深夜の図書館で俺は警備員を眠らせ、防犯魔法を無効化した上で資料を漁っている。 「分かってるのは時折魔物を狩ってることくらい。本部に乗り込まなければ何も分からないかし……あ」 そう言えば黄昏の銀翼団と深い関わりがありそうな人物が一人いた。 この町のギルドマスターだ。 ならば…… 俺はギルドマスター室へ転移した。 「そろそろ来る頃だと思っていた」 ギルドマスターが夜遅くだと言うのに普通にギルドマスター室にいた。 「あら?待っていてくださったんですね」 「ああ、君にはここで死んでもらう」 ギルドマスターの部屋にはギルドマスターの他に二人の怪しい人物が現れた。 「既に転移防止用の結界が張ってある。逃げられはしない」 それは魔力を使った転移だけに反応するものだから、聖力を使った転移には全く無意味。 「で、この怪しい男達は何者かしら?」 「ふっ……上位の召喚師だ。一人一人が私に匹敵する実力を持っている」 今、なんて言った? こいつらが召喚師? 冗談だろ? 「ハッタリのつもりですか?」 こいつらからは召喚師特有の魔力を欠片も感じない。 「ククク……偽者扱いされて彼らもご立腹のようだね。ほら」 「!?」 2体の獣が召喚された。 1匹は2つの頭を持った犬、もう1匹は3つの頭を持った犬。 オルトロスとケロベロスだ。
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