偽りの召喚師

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「ひ、ひぃ!」 ギルドマスターは情けない悲鳴を上げて結界を解除し転移で逃げた。 しかし、召喚師モドキは逃げ遅れたので2体の炎に焼かれて絶命してしまった。 そして俺には炎が一切来ない。 たぶん、俺に当たらないように調整してくれたのであろう。 「フフッ……ありがとう」 「ハッハッハッ」 「ワン!」 頭の数は多いけど普通の犬みたいだ。 ケロベロスとオルトロスを愛でていると誰かが騒ぎを聞き付けたのかギルドマスター室へやってきた。 「お前は!」 「また会いましたね」 やってきたのはギルド最強の不良だった。 「ここで何をした!!」 「私は何もしてませんよ。強いて言うなら自滅かしら?」 「自滅……?」 不良は2つの焼死体を見て警戒をさらに強める。 「その獣は……召喚獣か?」 「ええ、そこの二人から奪ってやりました。それに私はここに来ただけで仕掛けてきたのはあちらからですよ」 「……」 「それに本来は私であっても召喚獣を奪うことなんて出来ません。召喚師と召喚獣は魂で繋がっていますからね。でも、この二人は違った……召喚獣を無理矢理使役してたわ」 ケロベロスとオルトロスの身体の色が薄くなってくる。 もうここに留まれないようだ。 「また会いましょうね」 「ワン!」 「ガウッ!」 そして2体は元の世界へと帰って行った。
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