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でもまあ、その三十分も待たずともとりあえずの異変は直ぐに来るわけで……。
「ユキトくん、あれっ!」
声をあげたのはアヤメ。
オレらの背丈よりも高い塀の向こうからのそりと顔を見せたのは、キュクロープス。
前にもハントしたことのある一つ目巨人の姿をしたバグだ。
「をい、なんでもう一体出るんでつか?」
もちろん答えを期待しての言葉じゃないんだろうが
「知るかよ」
親切にもオレが返答してやる。
「もしかして今回のバグハントはターゲットが二体だったのかしら」
その可能性もなくはない。
だけど実はアヤメのこの言葉に、イエスともノーとも答えられるヤツが今ここにいない。
「ランちゃんが伝え忘れるなんてことはないと思うけど……」
サクラの消え入るような声に対して、オレは大きく頷く。
「だよな」
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