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「いきなり攻撃してくるよーな、ヒキョーモノはこのウメたんが成敗してやるお」
ビシッと人差し指を突き付けてバカが言う。
やっぱり状況を理解してやがらねえ。
「おい、とりあえず逃げるぞ」
オレがウメノの肩を掴むも、バシッと払いのけられる。
痛えって。
「ヒキョーモノに背を向けるなどと、ユキトはそれでも武士のはしくれかっ!!」
だめだ、コイツ。
完全にいっちまってる。
つか言うまでもなく武士じゃねえし。
ウメノの言葉を理解してるわけでもないのだろうけど、巨人は戦う気まんまんの様子でぽっかりと破壊された土壁をのそりと越えてくる。
「あちょー!!」
獲物に跳びかかる猟犬みたいに駆け出したウメノは、敵の直前で方向転換をすると自分もコマの様に回転しながらそのサイドに回り込む。
そして遠心力を効かせたバックハンドの拳。
……いいんだけどよ、武士やるのかカンフーやるのかハッキリしてくれ。
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