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ドズム、と鈍い音が響く。
あれってもしも生身の人間が喰らえば、本当に一撃必殺なんじゃないだろうか。
まだ肉体強化魔法の効果が続いているとはいえ、恐ろしいほどの威力だ。
だけど敵は生身の人間じゃない。
流石によろめきはしたもののキュクロープスは膝を折ることもなかった。
そこにウメノはまるで早送りのような突きを続けざまに叩き込む。
ダダダダダダダダ
はなから防御しようなんて頭のない巨人は無防備なままですべてのパンチを食らう。
「あたたたたぉお――あた?」
トドメとばかりに振りかざした拳はだが、モノの見事に捕まえられた。
巨人の大きな手の平は、ウメノの手首だけじゃなく拳から前腕の中程までをすっぽりと包んでいる。
そして「あ」と思った時にはもう、その腕を振りあげられていた。
巨人は無造作に、まるで紙屑でも放り投げるかのようにウメノを投げ棄てたんだ。
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