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「うっぷす!」
いくら産廃みたいなヤツだからってこの扱いは酷いぜ、などとオレが怒りに燃えてやろうと思う暇もなく、ウメノはアメリカンな感動詞を漏らしながら、猫みたいに身体を捻って音もなく着地する。
「アメリカ!? 三ヶ国めかよっ!」
武士だのカンフーだのとあまりの国の統一感のなさにツッコんじまったのがいけなかった。
その一瞬の隙をついてキュクロープスが突進してきたのだ。
オレに、じゃない。
少し逸れた位置にいたサクラに向かって、だ。
「きゃあ」
サクラはなす術もなく悲鳴をあげる。
とても追いつけない
そもそも追いついてもオレにはなす術がない。
チビッ子に向かって突き出される巨人の腕。
ぬるりと青い肌に浮かび上がるぶっとい血管が、そこに満ちた力の強大さを見せつけているようだ。
絶体絶命。
肉体強化魔法も使っていないサクラがくらえばひとたまりもない一撃。
――だが次の瞬間、とても奇妙なことが起きた。
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