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対峙してるこのバグがケモノの形をしているからといって、火を恐れるかどうかは分からない。
だけど、攻撃が来れば避けようとするのは当然だし、その跳躍の流れのまま、攻撃できそうな相手がいれば跳び掛かるだろうことも容易に想像はできる。
ゴアッ――
オレが立て続けに放った緋蜥蜴の火を避けてジグザグに跳び退いていたチェルベロは、ちょうど良い位置に立ちすくむ獲物――妖精の悪戯を発動したばかりのサクラを見つけると、三つの首の呼吸もピッタリに襲いかかる。
読み通り!
お前だって、イタズラ妖精からしたらただの物なんだぜ。
サクラの真ん前の空間あたりでチェルベロは一瞬消え、直後に跳びかかったのとは直角の右方に向けて飛び出した。
たぶんアイツ自体は何かが起きたことにすら気付いてない。
飛び出した速度は、もともとの跳躍の勢いよりはやや遅い程度か。
――いけるか!?
オレはその進路上に向けて緋蜥蜴に炎を吐き出させる。
ごう――
ごう――
ごう――
三つ。
三つ首のわんころはそこに狙い通り突っ込む。
立て続けに炎が爆ぜる。
「ウメノ――」
そう声を掛けた時には、ウメノは既に敵に近接し、炎の巻き添えを食わないように微妙に間合いを測っていた。
そして――
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