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僕の心臓に向けられていたレッドサイトはきっと小指の先の赤い糸だった。……まあ、僕の放った渾身の血飛沫はどうやらキミには届かなかったみたいだけど。
何事もなく、ただ立ち尽くす僕の横を通りすぎていくキミ。ふわりとなびく長い黒髪からは、なんだかとてもイイ香りがした。
夏の日差しに良く映える白い肌、理知的で涼しげな黒い瞳、極彩色と灰色が喧しい街で、それでも、飾り気の少ないその薄い白のワンピースを身につけた彼女を、僕は決して見失うことはないだろう。
つまりだ、キミはとても美しかった、それに加えて、スゴく可愛かったし、マジヤバいくらいにステキだった。
キミはきっと、全ての信者から敬われるべき女教皇でも、国を傾かせるほどの絶世の女帝でもないかもしれない。それでも、キミを一目見れば、どんなに恐ろしい皇帝でも、厳つい教皇様でも思わず振り返ってしまう。
それくらいにキミは完璧だった、パーフェクトだった。僕は完全なノックアウトで、撃ち抜かれた瞬間にはもう即死だった。
手遅れだ、手の施しようもない。僕に差し伸べられるべきはキミの柔らかそうなその手以外に考えられない。
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