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ああ、キミと恋人同士になれたらどんなに素敵なことだろう。キミと一緒に手を繋いで隣を歩けるのなら、僕はどんな手段を使ってでも、そう、重装甲戦車で正義の味方を轢き殺すことだって出来る。
なんだってやってみせる。……僕にそれだけの技量があれば、だけど。
そして、思考回路にまで深刻なエラーが発生してしまった僕は、ほとんど熱に浮かされたような無意識で……
「あ、あのッ……!」上ずる声。
なぜだか、僕の口から何か変な音声が聞こえてきたぞ?
人生ノゲリラ豪雨ニモ負ケズ、人ノ風当タリノ強サニモ負ケズ。
まるで隠者のような生活を送っていた僕が、名前も知らない、たった今すれ違ったばかりの、しかも、女の人に声を掛けてしまった。もちろんこんなのは初めてだ、僕自身が一番戸惑っている。
嗚呼、僕はこれからキミに盛大にフラれる。
そして、この街でキミと巡り会えた、いや、巡り逢ってしまったこの数奇な運命の輪を恨みながら、部屋の隅で埃と霞を食べてひっそりと生きていくのだろう。
僕のそんな陰気な思考なんてお構いなく、キョトンとしながら振り返るキミ。はい、その仕草すらとてもカワイイです。
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