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「ち、千秋ちゃん、く苦しい。息が」
「チィッ! 息の根とめてやりたいくらいだ! 金返せ!」
「お客様、落ち着いて下さい!!」
店長らしき人に羽交い締めにされて、ようやく私は我に返った。
自分ひとりで騒然とさせてしまったダイニングバーは、シンと静まり返り、いくつもの視線が私に集まっている。
その一つに、あ。かなりやらかしちゃったと気づく。
「松田さん、僕今日はもう帰るね」
不動産屋の男が、そう言ってそそくさと逃げ出すように帰って行った。
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