チューイング③

23/32
前へ
/32ページ
次へ
きっと、私とは縁のない人だったんじゃないかな。 ママが愛した人。 ママを不幸にはしなかったけど、幸せにもできなかった人。 ただ、私は、こうして生まれてこれて良かった。そのことだけはこの人に感謝しないといけないのかも。 「なんか、湿っぽくなったねえ。そうだ。夏姫の小さい時の写真でもだすかね」 「別にそんなのいいよ。あ、安藤さんひどいんだよ。小さい時の写真。照美ばあちゃんが撮ったの、私が泣いてる写真ばっかりなんだから」 「僕、是非見たいです!」 「じゃあ、私、アルバムを持ってくるわね」 それから、安藤さんは、写真を見せられながら、私の小さかった頃の鉄板ネタを、ママと照美ばあちゃんにいくつもいくつも聞かされていた。 .
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加