チューイング③

27/32
前へ
/32ページ
次へ
「安藤さん、あのね……」 「何?」 「やっぱいいや。何でもない」 何かを飲み込んだ夏姫ちゃんの頬に落ちた雪を指でぬぐった。 「夏姫ちゃん。僕の祖父母はね、両方とも、米寿は余裕か、惜しい! あと少しって感じだったよ」 「うん」 「年の差の分は仕方ないけど、相当に長生きする予定だから」 夏姫ちゃんは僕の手をぎゅっと握りしめた。 やっぱそういう事を言いたかったんだろうな。と確信した。 .
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加