14.

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鳴瀬の特別になりたいなんて、おこがましい。 わかってるけど。 鳴瀬に近づきたい。 鳴瀬に近づきたいのに、 どうしたらいいのか、わからない。 結局私は、これまで通りピアノを弾くことに専念した。 鳴瀬がくれた呟きやメロディーをつなぎ合わせて曲にしている。 いつか。 鳴瀬に聴いてもらいたいと思いながら。 『pray』 鳴瀬の曲を弾いていると、そんな言葉が思い浮かぶ。 鳴瀬に対する私の想いは、祈りに似ている。 どうか鳴瀬がもう傷つかずにいられますように。 そして願わくは。 どうか私がもう誰も傷つけずにいられますように。 どうして人は、ただ生きているだけで 誰かを傷つけずにはいられないんだろう。 どうして人は、ただ生きていきたいだけで 何かに傷つかずにはいられないんだろう。 簡単に願いが叶うなら、生きるのはこれほど難しくないのに。
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