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すると『良いだろう』と、悪魔は三日月の笑みを浮かべて、指を鳴らしました。
『家に帰ってみろ。お前の母親は良くなっているだろう』
悪魔はそう言って、彼の家がある方向に指を向けています。
そう言われた彼は大喜びし、家に帰ろうと向きを変えると
『もし助かっていたら、明日の太陽が上るまでにここに来い。絶対だぞ』
と、悪魔が囁きました。
彼はそうすると約束をし、家に帰りました。
すると、青白かった母親の顔色が健康的な小麦色に変わっていました。
それを見て彼は安心し、今までの疲れが頂点に達していていたので、うっかり眠ってしまいました。
彼が目を覚ますと外はほんのりと青白く、夜明けが間近であると分かり彼は慌てながら、丘を目指して走りだしました。
その頃、一番上の兄は仙人の目を盗み逃げ、林を走っていました。
走っていると、よく聞き慣れた声が聞こえたので、その声の方に向かうと、彼の思った通り、その声の主は一番下の弟でした。
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