プロローグ

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「あー、タイムスリップしたーい!確かドラえもんって、机の引き出しから登場したよね?」 そう言って私は、家の机の引き出しを漁る。 馬鹿な事だと言うことは、わかっている。だけど、諦めきれないのだ。 と、自己紹介をしましょうか。 宮野咲。 H高校の風紀委員です。 二年生ですよ。 部活は、剣道部。 強さは、まぁまぁじゃないでしょうか。 そしてそして、なんと私は! 歴史オタク&アニメオタクなのです!! 幕末にタイムスリップがしたすぎて禿げる。 いや、禿げたくはないですよ? これでも、健全な乙女ですから。 まぁ、そんな訳で没頭に戻るんですよね。 「ハァあれ?今日って、電劇Girl’sStyleの発売日じゃね!?速く、買いにいかないと!!」 着替えて、財布もスマホをポケットに突っ込んだ私は、アニメイトに向かって走り出した。 なぜ、アニメイトかと言うと、確実に買えるからで、特に深い理由はない。 無我夢中で走っていた私は、後ろから掛けられた声に、気づかなかった。 不思議に思いながら、走っていると。 クラクションが鳴った。 「たっく、なんなの──────!?」 その光景に、目を見開く。 刹那、体中に強い衝撃を受けた。 そのまま体は宙に浮き、固いアスファルトの地面に体を打ちつけた。 「うっ…………。」 あまりの衝撃に、顔を歪める。 私の周りは、赤色に染まっている。 どんどん、人が集まってくる。 遠くからは、救急車のサイレン。 直感で感じた…………こりゃ、もう死ぬな。 そう思うと、どうでもよくなった。 別に好きで生きていたわけじゃない。 楽しく生きていたわけでもない。 なら、死んでもいいじゃないか。 どうせタイムスリップなんて、できっこないんだから。
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