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???「ぜったい に ゆるさない ……!」
しょうねん は しずかに はげしく いかり を はきだした !
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それからほどなく、魔王は討ち取られた。
束の間の平和と戦後復興と、次の魔王へ向けた軍備増強が始まる。
それから10年後、神生暦1896年
~ウェスタロッパ連合王国 エイグリーク島~
魔王の進撃により、南から徐々においやられ度重なる遷都の末、ウェスタロッパ北西のこの島が今の王都となっていた。
しかし、この島から大きな王国を治めるのは無理があり、元のウェスタロッパ中央部のドゥルトイートへ移す話も出ている。
~王都~
???「……。母さん、朝だよ」
母「んー?……ふわぁーあ、と。おはよ」
???「全く……ほら、朝ご飯できてるよ」
母「ふふふ……ほんとに良い子ね。あぁ、あなたがお嫁に行ってしまう日が怖いわ」
???「ちょっとやめてよ母さん」
母「あはは、冗談。カッコ良くなったわよ、勇者」
勇者「全く母さんは…。俺だってもう17なんだよ?」
母「あらあら、もうそんなになるのねぇ…」
母「10年……か」
勇者「……そうだね」
母「……」
勇者「……」
勇者「さ、母さん。食べようよ」
母「ええ、そうね!」
心の傷はまだ癒えない。
しかし普通の生活が送れる程度には街も人も復興していた。
まだ魔物の残党が残っているせいで被害がある地域も少なくはないが、それもまた、職を失った者達の新たな金の源泉となるのだった。
勇者「ごちそうさま。……よし、それじゃあ仕事に行ってくるよ」
母「はぁい、行ってらっしゃい」
わずかな装飾の施された木戸が押されて、勇者が家からでてくる。
エイグリークの堅牢なレンガ造りの町並みが彼を迎える。
王城方面へと歩いていると、早くから開いている市場通りの喧騒が近づいてくる。
オレンジ売りのおばさん「あら!勇者ちゃん!」
勇者「おはよう、おばさん」
おばさん「はいはい、おはようさん!そうだ勇者ちゃん!今日はねぇ、良いオレンジがたっくさん採れたのよ!ほら!一つあげちゃうわ!」
勇者「良いのか?ありがとう!帰りに残ってたらまた買いにくるよ!母さん、大好物なんだ」
おばさん「はいよ。毎度ごひいきに!」
その日は初夏で、とても爽やかだった。
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