第1話 始まりの勇者の始まり

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そこは猛暑で、戦場だった。 長い帽子を被った男1「おい、なにやってんだノロマ!」 長い帽子を被った男2「くそっ!間に合わねえぞ!」 長い帽子を被った男3「火力が足りねえ!」 怒号と熱波が混じり合い、混沌とした場所。 そこが少年___勇者の職場だった。 長い帽子の男2「くそっ!くそっ!この……切れやがれッ!」 大男が包丁を大きな肉塊に叩きつけている。 長い帽子の男3「うわぁぁぁ!?」 若い男がフライパンから火柱を立てて狼狽える。 一際長い帽子の男「おい、坊主!キャベツはまだか!」 立派なヒゲの男が命令を下すと、 勇者「はいっ!今ここに!」 勇者が人と調理台の間を抜けて、野菜が詰まった箱を抱えて走ってくる。 練兵場よりも過酷。 王の側付きの近衛騎士も恐れ怯むコック達。 包丁の叩きつけられる音と熱気と怒号が満たすこの世の混沌。 ウェスタロッパ王城調理場。 それを宮廷の者はこう呼ぶ。 「戦場」と。 そして、その調理場手伝い。 それが少年の仕事である。 料理人1「おい……空が青いぜ。」 料理人2「ははっ…ホントだ…キレーな夕焼けだぁ…」 料理人が2人、調理場の壁に座り込んでレンガの天井に何事か呟いている。 一際長い帽子の男(コック長)「ふぃーっ昼の仕事はコレで終わりっと……おい坊主、夕飯の材料冷蔵庫に詰めたか?」 勇者「ええ、終わりました」 コック長「うし、じゃあ今日の給金だ。もう帰って良いぞ」 勇者「ありがとうございます。それじゃ、また明日も」 コック長「おう!頑張ってこいよ」 調理場を出ると勇者は、外には出ずに城内を移動する。 ~練兵場~ 東洋風の顔の兵士「お、来たな」 勇者「今日もよろしく、隊長」 二人が木刀を手にする。 それは、王国軍の制式長剣を模した物だ。 東洋風の顔の兵士(隊長)「よっしじゃあ始めるとすっか……礼ッ!」 ザッ! 二人がお互いに頭を下げる。 そして次に両者の視線が交わったその刹那。 ガンッ! 重く硬いカシアンの木で作られた木刀が隊長に襲いかかり、隊長がそれを受ける。
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