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鼻の下が、3センチくらい伸びているかもしれない。
散歩の前半では、んもぅ暗い雰囲気満載で、テレビで見た貞子を背中に、よっこらせと背負っているのではという感じだったのに。
中盤で任侠物を見た人間宜しく、肩で風を切って歩いた。どんな奴が来ても、負けない気満々。
そして現在、正直はたから見たら、可笑しい過ぎるだろう。自分で言うのもなんだけど……
「ちょっとアレ、大丈夫かしらね? そこら辺に落ちてる物でも、拾って食べたんじゃない?」
なぁんて言われても、否定できない。デレデレと締まりのない顔に、硬直した下半身――
あまりにアレなので、ちょっと冷静にならなければ。
電柱にそっと身を潜めた時、
「ギャアー!」
あり得ない声の大きさで、断末魔の叫びが聞こえてきた。
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