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いくらイケメンでも、そんなチャラい性格してたら、彼女が振り向くはずないじゃないか。ざまーみろ!
俺が心の中でこっそり、ほくそ笑みを浮かべていると、偶然目が合ってしまった。彼女ではなく、チャラい奴と――
「何、見てんだよ。クルゥラー!」
「ひゃあ!」
カーッと怒り丸出しのチャラい奴の態度に、慌てて逃げ去った俺。
慌てて逃げたので、途中水たまりにジャパッと足が入ってしまったが、背に腹は変えられない。あんなのに捕まったら間違いなく、ボコボコにされるであろう。
今までの経験で培った俺の勘。滅多に外れた試しがない。
自宅近くでやっと落ち着いて、ゆっくり息を吐く。
チャラい奴に会ったが、それでも彼女の姿が見られたので、良かったと言える。
明日も会いに行きたいけど、チャラい奴もいるんだろうか?
心の中で彼女を中心に、自分とチャラい奴を左右に並べてみた。お似合いなのは、一目瞭然なワケで。切なすぎる事実に、打ちひしがれるしかない……
目を背けたくなる現実のせいで、自宅に置いてある「人は見た目が九割」という本を、ぼんやりと思い出してしまった。
「やっぱ、人は見た目よね。九割なのよね」
呟きながらその本の持ち主は、しっかりと読んでいた。これは今の俺にも、当てはまることに違いない……
ガックリ項垂れながら、自宅に戻った。明日、どうしようかな。
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