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† † †
……僕達が体験したことは、きっと大きな目で見たら、何てことは無い、この世界では良くあることなのだろう。
結果としては、『天使を返り討ちにした』。ただそれだけのこと。
だけど、僕達個人ではそれを知り得ることはできない。僕達は望んだ身を投じたけれど、あくまで一個人だから。
ただの一個人が、物語を把握することはできない。
この事件において、一個人でいながらにすべてを知り得るのは、きっと彼女のみなのだろう。
人間好きの戦争屋。フレニア・プリムヴェール。
山羊の執事と共に、天使を撃退した張本人。
ああ、申し遅れた、僕の名前はシン。シン=アリハラ。
セルバンテス学園に通う一般的な学生。
この世界では比較的少ない種族の人間で、普通に生きていたら、きっと今回の事件を知らぬままに過ごしていただろう。
それほどまでに、今回の事件は存在感が無かった。
強いていえば、ゴルデネの空に希少な天使種が観測された程度。
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