前章 ガブリエル

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 思惑は水面下で潰され、真実は交錯し、策謀は絡まって無意味。  現実はいつも知らぬ間に大きく進んで行ってしまって、僕達は知らぬ間に何時も通りの日常に戻る。  然し僕達が身を投じた事件も、噂でしか無かった「戦争屋」も存在していて、世界が180度変わってしまっことは紛れもない事実だったのだ。  そう、世界は180度変わった。  彼や、彼女や、あの子や、あの人達。僕が普通だと思っていた世界は、本当はひどく歪で、ごちゃごちゃしていたのか、それを知ることになった。  同時に、僕は彼や彼女やあの子やあの人達が一体何を目指し、何を思い、何を考え、何をしようとしていたのかということを、結局最後まで知ることはなかった。  その発端となったのは、あの頃僕に起こった、とある事件――
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