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真弓は、その日の朝早くにK出版社に赴き、
「渡辺さん、資料ありがとうさんでございます。
そのぉついでにと言っては何ですが……」
志津子の所在を訊きだすと、絵一には固く口止めをお願いした。
勇ましく踏み出す眞弓のその足は、
志津子の宿泊するホテルを訪れ、そうして部屋のドアを、
コン コン
緊張しながらノックしたのだった。
すると弾むような声と共に、
ガチャリ
笑顔でドアは開かれた。
真弓は、何の警戒心も示さない彼女の表情に、
少しの戸惑いを覚えた。
「あらっ、
あなたは昨日の……」
「はぃ……
真弓ちぃ言いますがょ」
「え、はぃ。
志津子と申します。どうぞよろしく。
どうぞお入り下さいなぁ。……さぁご遠慮なくぅ」
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