19人が本棚に入れています
本棚に追加
´
「まあ、真弓さん、怖いお顔ですこと。
それでは、そちらのソファーに腰を降ろして、
ちょっとお待ち下さいな」
志津子は手土産の礼を述べて、冷蔵庫の方へ向かった。
真弓は何やら落ち着かないようすで、
辺りをちらちら窺いながら腰を降ろすのだった。
しばらくすると目の前のテーブルには、
チーズやサラミや、そうして真弓の手土産などの肴が並び、
「真弓さん、いけるんでしょう」
最後にワインとブランデーが置かれた。
「真弓さん、わざわざのお運びで……」
志津子はそう言いながらグラスにワインを注いで、
それを手に持ち、真弓に勧めた。
真弓は、チラリと上目で黙って頷き……
それを手にした。
「ねぇ……
真弓さん、乾杯致しませんか?」
真弓はやんわりと差し向けられたグラスに、
カチッ
慌てるかのようにしてグラスを合わせ、
(もぉぅ、完全に彼女のペースじゃょ)
そうして、いただきますと言って一気に飲み干した。
志津子は、真弓のそんなようすを確かめるようにして、
ゆっくりと口にグラスを運ぶのだった。
´
最初のコメントを投稿しよう!