第1章

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 携帯おばさんはなぜそれほど携帯電話に過剰反応するのかー。その人はバスに乗ってくると必ず優先席にすわるから、もしかするとペースメーカーをつけていて怖い思いをしているから携帯を憎む?などと考えたことがあった。おばさんが降りるときに後を追って理由を聞きたい衝動に駆られたが、実行していない。  そうこうしているうちに日が過ぎ、久々におばさんとバスで遭遇!混雑していたが、「いま、足ふんだな!」というものすごい怒鳴り声でわかった。おばさんの前に若い女性が立っているが、その人が足を踏んだのか?女性は小さな声であやまっているのに、おばさんはさらに声を荒げて畳み掛ける。バスの中、キンチョー。おばさんが携帯以外で怒っているのを初めてみた。こういうこともあるのかと、新たな恐怖が!  すると、「この人、あやまってるじゃないですか」と、女性をかばう男の声。「もういいんじゃないですか」と諭すような落ち着いた声である。どんな人?見えないー。若いような年配のような。おばさんはそれでも負けねーぞといった感じで、ブツブツ文句をいっていたが、やがて静かになった。これまでおばさんに注意する人など見たことがなかったから、その男に心の中で拍手。気弱なうちのバカ息子に教えてやりたい。
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