第1章

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「今日宿題出た?」 今日は入学式。 だから宿題なんて一切出ていない。 「出てないよ。」 「ハイッ、じゃー行こう!乗って!」 「えっ!?…わっ、ちょっ!」 私の答えを聞くなり、私の大好きな満面の笑みで自転車にまたがり、私の腕を引く。 何が何だかわからないまま、器用にも自転車の荷台に横座りで乗せられ、咄嗟に楓の体にしがみついた。 わっ!男の子の、身体だっ… 小さかったあの頃からは、想像もできない、がっしりした骨。 でもウエストはものすごく細くて、羨ましいくらい。 「しゅっぱーーつ!」 「わっ!」 自転車がグラっと一回傾きながら、私と彼の地元を、走り出した。
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